2016年6月9日木曜日

一滴

私は本当に一人になってしまった
あの人の名をうねるほど 心で呼び続けた

しばらく空っぽの心を抱いた
わたしは確実に何かを失った
それを感じることを恐れ
人に紛れ、空気に合わせ、街に溶け込んできた

何かの思想にしがみつき
誰かの言葉を自分に染み込ませようとした

障子の隙間から
竜巻のような風が吹き込み
私の子をさらってしまった
夜風に揺れる植物は それでも太陽目指し進んでいる
わたしは
それをぷつりと途切らせてしまったのだ

床から静寂という冷えが
体に這い上がってまとわりついてくる
孤独を吐き出すごとに わたしは心を取り戻していった
深い眠りについた

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