2013年5月10日金曜日

見つめる


目も眩むような恋をして
私達は寄り添い
夏を乱し
冬を超えた

辿り着いた宿でも
伏し目がちなあなたは
今、何を想う

あなたの頬を突き刺す
この明かり
揺れる光を手探りに
知りたいと求めたなら
いつもの結末が
そっと迎えにくるだけ

川に笹舟を流すように
すべての罪を洗えたら
遠い海に帰れる

あなたの在り方は
どこまで追いかけても
捉えられぬ
月明かりのよう

2013年5月4日土曜日

蜜をからめあげ
窓の外では若葉が青々と
鬱蒼と
森のように茂り
形なきものに名を与え
重く垂れさがるのは干し柿

縁側の昼過ぎ
並ぶ車両と駆け抜ける音が
静かな部屋に
斜めにかけたカーテンの隙間より
入ってくる

散らかりすぎた
痛みも
あの暑さよりは、かなしくて
切った糸の先に
温めあったことなど忘れた
そういう私が、見える