どしゃ降りのあと
今年も見ぬまま
桜は終わってしまったかと、思いつつ
近くの公園に足を運ぶ
頭の上の桜の木の枝から
落ちてくるのは
誰の雫だろうか
透明な雫は
私の顔の前で
いつも醜い色に変わる
ひらひら
落ちてくる花びらが
薄桃色の桜の花びらだった時
私たちは
ふと春に救われる
けれど
ひらひら
今年の夜桜の下で
見えていたのは
色のない空と欠けたままの月
夜の匂い
雨の後
群青色の苦い風の味だった
帰り道
人に踏まれ
アスファルトにこびりついた
桜の花びらを見た
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